どうして漢字を勉強するの?と聞かれたら
「どうして漢字を勉強するの?」とお子さんに尋ねられたら、すごくドキっとしますよね。
漢字学習をしたくないことを遠回しに伝えているだけなのかかもしれませんが。
「単純に、勉強することは楽しい」
そう伝えても、この答えで納得するお子さんはそう多くないはず。
この記事では、漢字学習をしたくない様子をみせたとき役立つかもしれない返答のヒントをご紹介します。
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「漢字の勉強楽しいよ」「でも……」と返答されたら
「どうして漢字を勉強するの?」
「単純に漢字を勉強をするの、楽しいよ」
「へー、でも……」
お子さんが、「へー、でも……」と切り替えしてきたら、その内容はなかなか反論しづらいものがあるかもしれません。
時代の変化にともなって書くのが面倒な漢字を書く機会は減るだとか、日本語などは使わずに世界の人々は世界の共通言語である英語でコミュニケーションをとるだとか、そんなことを言ってくるかもしれません。
しかし、それでも、「漢字を勉強をするの、楽しい」という面があることは、それらの理由では否定できないことでしょう。
世界共通語であれば。漢字だってアジアには漢字文化圏が広がっている地域があって、漢字を知ればほかのアジアの地域を知ることだってできるかもしれません。
漢字を書くのはたしかにめんどくさいけど、漢字がないといろいろ困ることがあるはずです。それに書く機会は減ってもある程度は漢字が読めないとどうしようもありません。
漢字を知れば世界がひろがる??
突然ですが、ここで問題です。 漢字文化圏とされる国の名前、英語で言ってみてください。 日本を含め、周辺の韓国、ベトナム、そして、中国。 英語で国名言えますか?
簡単ですよね。 Japan, Korea, Vietnam, China.
漢字文化圏だから、国名も漢字?
「漢字文化圏であったってことは、昔は漢字を使っていたってこと。だから、漢字で国名を書いていた時代があったかもしれない。てっことは、古い時代の国名が英語での名前に影響を与えているかもしれない。」
そういうふうに考えるのは案外自然かもしれません。
韓国なら、高麗という王朝が、ベトナムなら越南という王朝がありましたね。
「こうらい」がKorea、「えつなん」がVietnam。
音が似ていませんか。
英語の名前の由来が漢字からきているっていうのはすごくびっくりじゃないですか?
これってすごく面白いことだと思います。
今度は、中国。 中国は王朝が多すぎて大変ですが、万里の長城で有名な秦漢時代の秦。
「しん」とchina。すこし遠い気もしますが、秦朝の時代にもシルクロードを通じてヨーロッパとの交流があったはずなので、可能性として、あるのではないでしょうか?
問題のJapan!?
「じゃあ、Japanは?Japanは日本語でニッポンかニホンとしか言わないけど?」
たしかにジャパンのジャと二は似ても似つかないですよね。
困ったので漢字辞典を引いてみましょう。
すると、漢字辞典にはきっと、音読みの欄に、日の読み方として「ジツ」を掲載しているはずです。本日はお日柄もよく、なんて言いますもんね。
ジャパンの「ジャ」と「ジツ」という読み方は似ていませんか。 パンはおそらく「本」から来ていると考えてもいいでしょう。
子ども向けの辞書にはあまり載っていませんが、大人向けの辞書を引くと、音読みのらんに、呉、漢、唐などといった表記がみられることでしょう。
音読みは中国から伝わった読み方ですが、呉、漢、唐などという表記は、大雑把にいうと、伝わってきた時代ごとの音の区別を示していますよね。
現在の中国語なら、日本はribenと読みますが、時代を遡ると、ri以外の発音でよんでいた時代があるということが日本語の漢字からは分かります。
韓国やベトナムも漢字文化圏の一部だったので、それらの国と漢字音を比較してみると、中国語の古い時代の発音が見えてきたり、あるいは、日本語の漢字を使って韓国やベトナム語の学習をすることができるかもしれません。
漢字の読み方が多いのも、勉強するのが嫌になる理由の一つかもしれません。しかし、多くの発音が残されていたおかげで、他の国の漢字音へと世界をひろげることができますね。
漢字なしでひらがなのみの世界なら……
漢字を書くのはたしかにめんどくさい。 ひらがなだけなら、楽なのに。
確かに画数の多い漢字を書くのは、大変です。
ひらがなでこんなメモを残されていたら、どう感じますか?
「すもももももももものうち」
なんと書いているのか、さっぱりわかりませんね。
「スモモも桃も桃のうち」
こう書くと意味がすぐ伝わってきませんか。
漢字を書くのはめんどくさい。でも、相手に意味を伝わりやすくするための配慮、愛なのだ、とお子さんにつたえてあげましょう。
終わりに
この記事では、「どうして漢字を勉強するの?」というちょっと困った質問に答えるのに役立つヒントを紹介しました。
お子さんがすこしでも漢字に興味を持って勉強する意欲が回復するお手伝いになりますように。
もし漢字に興味をもったら……。
もし漢字を勉強しようという気になってきているのなら、善は急げ。
「何度も書くな!!−−漢字は歌って覚えろ!? 」の記事もおすすめです。
また、日本の漢字と中国などで用いられている漢字を比べながら勉強してみるのも、いいかもしれません。