「きはじ」が苦手!?--速さの計算は単位にもどれ!?
速さの計算の公式って混乱しがちで、苦手になるお子さんが多い分野です。 「きはじ」や「はじき」、「みはじ」なんて唱えても覚えたのに、実際に計算して求める場面でうまく使えなかったってことになりがち。
そんなときは、速さの単位に注目して計算をしてみるといいかもしれません。
速さの計算は単位に注目しろ??
なぜ、速さの単位に注目するのでしょうか? それは、速さの単位を見ると、速さを求める式が隠れているからです。
例として、「5000mを10分で歩きました。このとき、分速何mですか?」という問題を考えます。
答えは分速500m、あるいは500(m/分)ですね。
速さの計算が苦手なお子さんは、「分速」という言葉から式を作ることができないかもしれません。そこで、分速200mなら、200(m/分)という書き方ができるよということを教えてあげます。「四角形や三角形の面積を求めたときは、答えに単位をつけるよね。同じだよ。で、実はこの式には、速さを求める公式が隠れているよ」といった言葉で補足してあげてください。
「分に数字が書かれていないけど、本当は1分のあるはずだけど、1が隠れているんだ」 「分速っていうのは、1分あたりの進む距離のことだよ」と定義もあわせて教えてあげましょう。
もしも単位のなかに式が隠れていることが納得がいかないようなら、面積の単位を尋ねてみるとよいでしょう。 すると、平方センチメートルや平方メートルという単位がでてくるはずです。 平方は同じ数同士をかけ合わせたものだよ、ここではおなじ単位同士かけ合わせたと考えると面積を求める式と一緒だね、などと伝えると納得してくれるかもしれません。
距離を求める場合
与えられている情報は、速さと時間です。速さの単位は”m/分”、時間の単位は”分”としましょう。 すると、距離のmを求めるためには、分と分を消去するような計算をすればよいですね。この際、「求めたいものが残るように計算するんだよ」、と声をかけてあげてください。 ”m/分”×”分”の計算をすると、分が消去されて、求めたいm、つまり距離が求められますね。 式を書かせる際は、思い切って、求めたいものを先に書かせてもいいかもしれません。
(m)=(m/分)×(分)
とかけば、答えを書くときにも単位の記入に気をつけることができますね。 あわせて、図を書かせるようにしましょう。 線分図などを書かせれば、単位などに注目させなくても、すぐに計算しちゃう子がでるかもしれません。
距離の計算は、速度×時間で求めることができるので、面積図でも書き表せることを伝えてもよいでしょう。
時間を求める場合
時間を求める場合は、距離や速さを求める場合とは違って、ちょっと計算にひと工夫必要です。等式の性質などを知っていて逆算ができればいいのですが、そうは言ってられない場合も多いかもしれません。
なので、ここで紹介する求め方はいろいろとごまかしがあります。等式の性質などについて説明をしてもよいのですが、ここでは堪えてください。時間を求めるときも同じように、「求めたいものが残るように計算してみて」、と声掛けしてあげてください。
距離を求めるときの方法を採用して、まずは求めたい物を先に書きます 式を書かせる際は、思い切って、求めたいものを先に書かせると、単位のつけ忘れを防げるでしょう。
すると、分を求めるためには、mとmを消去したい。お子さんはきっと、そこで、速さの単位を逆数にしたかたち”分/m”で計算することに気づけるはずです。
(分)=(分/m)×(m) と自身で導出できれば、完璧ですね。
線分図でも、その計算式で正しいことがわかりますね。
もし厳しそうであれば、上の図の問題であれば、「1分だと500mすすめるんだって。500mが5000mのなかに何個入りそう?この個数ともとめたい時間は一緒の数になるよ」だと誘導してもよいでしょう。
終わりに
この記事では、「速さの計算で有名な”きはじ”の図がうまく書けない」「”みはじ”や”はじき”覚えられない」というお子さん向けに、単位に着目するという方法をご紹介しました。 単位を書きながら計算するので、答える際に、単位の書き忘れをして減点されてしまうミスも減るというメリットもありますね。
また、理科でも単位を使った計算をする分野は多いので、今のうちから慣れておくとよいでしょう。
この記事が、速さの計算の苦手意識をなくすヒントになればうれしいです。
おすすめ本
もうすこし前段階の学習が必要に感じたとき、どのようにその内容を教えるべきか悩むかもしれません。 そんなときは、中山理『算数再入門 わかる、たのしい、おもしろい』を参考にしてみるのは、どうでしょう?
「速さの計算以前に、平均の考え方が理解できていないかもしれない。平均の考え方の前段階の学習内容は……??」などと、急に確認が必要になったときに、便利な内容になっています。
お子さんに補助的な教材を使わせたいときは、『にがてをとくいにかえる平均割合速さ小5・6 (算数分野別シリーズ 5)』もおすすめです。